法律では退職金を支払うことは義務付けられていません。
退職金は出すのが常識だと考えている会社が多いですね。でも、あれほど高額であり、しかも法律で義務付けられてもいない退職金をただ常識だからという理由で払う意味があるのでしょうか?
せっかく高額の退職金を払うのであれば、そこには何かの意図や目的があってしかるべきなのですが、すぐに答えられない経営者の方が多いですね。今一度その意味を考えてみましょう。
退職金の意味について、いろいろ意味づけがなされてきましたが、代表的なものは、以下のものです。
1.賃金の後払い説
2.功労褒章説
3.手切れ金説
4.(退職後の)生活保障説
皆さんは、どれを選択されますか?その意味にかなった退職金制度になっていますでしょうか?
入社1年目の人でも分かる制度にする
やけに複雑でわけの分からない退職金制度があります。複雑で立派なのですが、分かりにくい退職金制度では困ります。恐らく作った人(多くはコンサルタントなのでしょうが)は満足していると思うのですが、その作った人しか分からなくて、その人がいないといざ退職者が出たときに支給金額が???となってしまうようでは実務上支障をきたします。
それに、理解できもしない制度を作って、会社の意図を社員に理解してもらえるのでしょうか?退職金制度は賃金制度とあいまって社員の将来に見通しを示せるものであるべきです。
制度設計は慎重に
退職金は法律で義務付けられてはいませんが、一度制度化してしまうと、会社はそれに拘束されます。ですから慎重に設計していただきたいと思います。よその会社がこうだから、ということで無理に高額な退職金制度を設計することは致命傷になります。
<実例>
A社は大正元年創業の老舗の卸売業でしたが、このところ業績が芳しくありませんでした。バブル崩壊後、受注量が減少し、単価も下落していました。その会社の退職金規程は昭和38年に作られたもので、こうなっていました。
退職金の金額=退職時の基本給*勤務年数*自己都合退職係数
この計算式により計算すると、退職金の総額はおよそ1億5千万円になることがわかりました。A社はその後、取引先が倒産して不渡り手形をもらい、連鎖倒産しました。新聞にA社の社長が退職金不払いの容疑で書類送検されたという記事が載ったのは、倒産から3箇月後のことでした。
感覚としては、「ないよりはあったほうがいい」ということです。
せっかく退職金制度作るなら何か仕掛けを
せっかく退職金制度を作るなら、何か会社にとって都合の良い要素を盛り込むべきでしょう。このへんのところは割と自由に設計できます。例えば繁忙期に辞める人には退職金を減額するとかいろいろ柔軟に会社の都合のいい仕掛けを考えましょう。